定年後の生活をどう再設計するか
執筆: 橘 誠一郎 — 創業者・主任コンサルタント、
「何をすればいいかわからない」という感覚から始めるための手順
定年を迎えた直後、多くの方が「自由になったはずなのに、何をすればいいかわからない」という感覚を経験します。これは珍しいことではありません。長年、仕事という構造の中で時間を使ってきた後、その構造が突然なくなるのですから、戸惑うのは当然です。
まず「続けたいこと」を書き出す
生活の再設計は、新しいことを始めることより先に、今まで続けてきたことの中で「これは続けたい」と思うものを書き出すことから始めます。仕事の中にあった習慣(朝早く起きること、誰かと話すこと、何かを調べること)も含めて、具体的に書いてみてください。
この作業は、思ったより時間がかかります。一度に全部書こうとせず、一週間かけてメモを積み重ねる方法が合っている方が多いです。
「手放すことになるもの」を正直に書く
定年後の生活設計で見落とされがちなのが、「手放すことになるもの」の整理です。収入だけでなく、肩書き、日常的に会う人、移動の習慣、緊張感、達成感の形など、仕事が提供していたものは思ったより多くあります。
これらを正直に書き出すことは、喪失感を認めることでもあります。ただ、書き出すことで、何を別の形で補う必要があるかが見えてきます。
一週間のスケジュールを具体的に想像する
「旅行をしたい」「趣味に時間を使いたい」という言葉は、実際の生活設計としてはまだ抽象的です。具体的に、月曜日の朝から日曜日の夜まで、どう過ごすかを書いてみてください。
この作業をすると、「実は一人でいる時間が多すぎる」「誰かと話す機会が週に一度もない」といった具体的な課題が見えてきます。課題が見えると、対策も考えやすくなります。
対話の中で整理する
一人で考えていると、同じところをぐるぐる回ることがあります。誰かに話しながら考えることで、自分では気づかなかった前提や思い込みが見えてくることがあります。CloverSummitの個別セッションは、こうした整理の場として使っていただけます。
定年後の生活設計に正解はありません。ただ、丁寧に考えた時間は、その後の生活の質感に確実に影響します。